モロッコ人はウソつき?ウソつきじゃない?
幼い頃から「ウソをついてはいけません」と教えこまれている日本人にとって、ウソをつかれると一気に裏切られたような気分になる人も多いのではないでしょうか。
そんな日本人がモロッコ人と対すると、しばしば「またウソつかれた!」と思うことでしょう。
ではモロッコ人はウソつきなのでしょうか?
答えは「そうとも言えるし、そうとも言えない」。
というのも、日本人がモロッコ人をウソつきだと思う場面は非常にあるのですが、これがモロッコ人同士だったら…。
きっと、全く気にしないでしょう。
まさに文化の違いで、日本人がモロッコ人を”ウソつき”と思ってしまう部分が大きいと思うのです。
値段に定価がない
まずは、定価がないことに慣れていない日本人にとって、いきなり高い価格を言われたら「こいつ、わたしを騙そうとしているな」と身構えてしまうのは当たり前のこと。
特に観光客が行くメディナ(旧市街)では観光客相手に値段交渉が頻繁に行われるので、「モロッコ人め!」と思う場面に出くわすことでしょう。
しかしこれはあくまで、アラブ式の買い物と心得ましょう。
もちろん、店側はできるだけ高く売りたいと思っているわけですが、物を見極める心と目を持って入れば「騙された」とは感じないに違いありません。
全てが”インシャアッラー”
モロッコ人と何か約束をしたことがあるのであれば、きっと
「インシャアッラー」
と言われた経験があるでしょう。
「インシャアッラー」=神様がお望みになれば
というような意味なのですが、
「じゃあ、明日13時に待ち合わせね!」
と言って
「インシャアッラー」
と返されたら…。
えええええ?これって約束したの?しなかったの?
と日本人なら不安になることでしょう。
「インシャアッラー」。
明日約束の時間に行けないような事が起こってしまうかもしれない。
モロッコ人はその前提で動きますので、約束をしても「インシャアッラー」と返されてしまうのです。
大丈夫。
これ、ちゃんと約束しています。
しかし…。
想定通り?2時間から3時間待合せ時間に遅れることもしばしば。
こちらとしては、「神様が望まなかったのだな…」と思うしかありません。
知っている”つもり”のことを堂々という
モロッコ人はとても親切です。
困っていたら助けてくれる人がほとんどでしょう。
助けていたら会社に遅刻してしまうのでは?と思ってしまうこともしばしばです(これもきっとインシャアッラー)。
親切なのはとても有難いのですが、不確実なことでも自信を持って教えてくれるのは困りものです…。
以前、子どもの幼稚園で白のフリルのついたソックスを買ってくるように言われました。
先生にどこに売っているか聞くと、
「あそこのマーケットに売っている」
と言います。
でも、私はそのマーケットでそのような店を見たことがありません。
何度、聞き直しても「絶対売っている」というので、探しに行きましたが、やはりありませんでした。
間違いを認めない
モロッコ人はプライドの高い国民です。
特に男性は、自分が間違えた、とはなかなか言わない人がほとんどです。
フェズには大型ホテルチェーン”IBISホテル”が2箇所あります。
以前、タクシーに乗り、
「駅近くのIBISホテルで降ろしてくれ」
と頼んだのに、もう一方のIBISホテルに連れて行かれました。
「駅近くで降ろして欲しいんだけど」
というと、
「ここもIBISだろ!」
と言い返してきます…。
「間違えた、ごめんなさい」
と言えば済むものを、素直に謝りません。
こんなことはしょっ中です。
やっていなくても、やったという
やっていなくても
「もうやった」
と言い、後でやっていないことがバレて
「やろうと思っていたんだよ!」
と言ったりすることも多々あります。
その言い逃れの仕方はまるで小学生です。
最初はいちいち頭に来ていましたが、慣れてくるとモロッコ人には全く嘘をついている気がないのだとわかってきます。
その場をスムーズに終わらすために(小言をいわれないために)、言い逃れをしているだけなのです。
まさにこどもです。
「モロッコ人男性は、いい歳になっても中学生のようだ」
とはモロッコ人男性と結婚した人からよく聞くことばです。
”純粋”ということにしておきましょう。
モロッコ人に慣れてくると、逆に日本人のウソが巧妙に思えてちょっと恐ろしくなるかもしれませんよ。